DMXネットワーク・プロトコル
システムのDMXポートの代わりに、またはDMXポートとともに、ネットワークDMXプロトコルを用いてDMXを送受信できます。
これはすべて、Network Protocols メニューから制御されます。Setup キーを押し、Network Protocols ボタンをタップすると、下のようなメニューが開きます。
Network Protocols メニュー - Art-Net タブ
grandMA2 は、以下のDMXネットワーク・プロトコルをサポートしています。Network Protocols には、各プロトコルに対応するタブがあります。
Art-Net:
送信と受信の両方を行います。いくつかの範囲のユニバースで、異なる設定を行えます。
ETC-Net2:
送信のみを行います。ユニバースの範囲は1つだけです。
Pathport:
送信のみを行います。ユニバースの範囲は1つだけです。
sACN: (streaming ACN)
送信と受信の両方を行います。いくつかの範囲のユニバースで、異なる設定を行えます。
Shownet:
送信のみを行います。ユニバースの範囲は1つだけです。
KiNET:
送信のみを行います。いくつかの範囲のユニバースで、異なる設定を行えます。
ネットワークのDMXデータを送受信するのは、常にセッションのマスターです。
各ネットワーク・プロトコルには、少なくとも1つの設定行があります。プロトコルがサポートしている場合は、より多くの行があるかもしれません。
Network Protocols の一般的なボタン
画面の右側には、最大で3つのボタンが表示されます。
Network DMX if Alone - これが有効な場合(文字が黄色)、ステーションはネットワークを介してDMXを出力します。すべてのネットワーク・プロトコルは、セッション内のマスター・ステーションから送信されます。接続されているステーションが無い場合、これを有効にしてネットワークDMXを出力する必要があります。これは、すべてのネットワークDMX出力を切り替えます。枠が赤の場合、このステーションはネットワークDMXを出力しません。枠が緑の場合に、ネットワークDMXを出力します。この設定は、すべてのネットワークDMXプロトコルで共有されます。
[Protocol name] Output Active - これが有効(文字が黄色)の場合、ネットワークDMXプロトコルを出力できます。各プロトコルごとに有効/無効を設定する必要があります。
[Protocol name] Input Active - これが有効(文字が黄色)の場合、DMXプロトコルを入力できます。これは Art-Net と sACN でのみ可能です。
Art-Net、sACN、および KiNET の場合、画面の下部に Add および Delete というボタンが表示され、一覧で設定行を追加したり削除したりできます。
Network Protocols での一般的な設定
以下の設定は、種々のプロトコルで共有されています。
LocalStart - 送信したい卓の最初のDMXユニバース、または受信したい最初のユニバースの番号です。
Amount - 受信または送信したいユニバースの総数です。
ExternStart - プロトコルの多くは、これを用いてプロトコルのユニバース番号を設定します。例えば、grandMA2 ユニバース10を Shownet ユニバース5として送信したい場合、ExternStart を 5 、LocalStart を 10 にします。
TTL (Time To Live) - ネットワーク上でマルチキャスト・トラフィックが失効するまでに通過することが許されるルータ(ホップ)の数を指定します。ルータ(ホップ)ごとに、始めに指定した TTL は1ずつ減っていきます。その TTL 値が 0 になると、各マルチキャスト・データグラムは失効し、ネットワークを通して他のサブネットへ送られなくなります。
Priority - 多くのネットワーク・プロトコルには、優先度の設定があります。これは、トランスミッタからのDMXデータの重要度を、レシーバに知らせるために用いられます。この設定は、レシーバに複数のDMXソースがある場合にのみ関係します。通常、数値が大きいほど優先度が高くなります。
Info - 関連する情報を設定できます。
Art-Net
Art-Netは、Artistic License (www.artisticlicence.com )によって開発されたロイヤリティフリーのプロトコルです。
MA では、Art-Net 1、2 および 3 をサポートしています。
Art-Net 3 は、256 ユニバースからなる 128 のネットワークを提供します。ネットワーク番号が 1 に設定されている場合、Art-Net 1 および 2 と互換性があります。
Art-Net ウィンドウで行を追加するには、Add をタップします。不要な行を削除するには、それを選択し、Delete をタップしてください。
各行に対して、いくつかの選択肢があります(ここでは 上述の一般的な設定 にないものだけを説明)。
Valid - このセルは読み取り専用で、行が有効かどうかを表しています。同じユニバースの送受信を複数回行うことはできません。行が有効(Yes)の場合、データを送受信を行います。
Requested - ラインが要求されているかどうかを設定できます。無効(空欄)にすると、Valid が No になり、Art-Net データを送受信を行いません。
Mode - OutputBroadcast 、OutputUnicast 、OutputAuto 、および Input の間で切り替わります(後述を参照)。
Destination IP - Mode が OutputUnicast の場合にのみ利用できます。これは、レシーバのIPアドレスです。
Network - Art-Net のネットワーク設定です(1〜128)。
Subnet - Art-Net サブネット設定です(0〜F)。
Universe - Art-Net のユニバース設定です(0〜F)。
Delay - パケット間に、ミリ秒単位で遅延を設定できます。低速ネットワークで、必要になる場合があります。これは、Art-Net 出力のみに対するものです。
Mode を選択すると、Art-Net ラインの機能が変更されます。セルを編集すると、上述のような選択肢を持つポップアップが開きます。
Select Mode ポップアップ - Art-Net モード
最後の "Input" を選ぶと、Art-Net DMX入力がシステムにマージされます。
Art-Net によるDMX出力では、ユニバースごとに、ブロードキャストまたはユニキャストのネットワーク・トラフィックの自動検出と手動設定に対応しています。
OutputBroadcast - DMXユニバースをブロードキャストとして送信します。
OutputUnicast - DMXユニバースを、Destination IP に設定されているIPアドレスにユニキャストで送信します。
OutputAuto - ArtPoll によって検出された最大5つのレシーバに、ユニキャストとして各DMXユニバースを送信します。レシーバ数が5を超える場合、またはユニバースを要求しているレシーバが検出されない場合、ユニバースはブロードキャストとして送信されます。
ヒント
5つ個々のレシーバに対するデフォルトの制限は、最大で10までに変更できます。設定は、コマンドラインから "MaxUnicast" プロパティを用いて行ってください(
Protocol キーワード を参照)。
重要
Art-Net は、イーサネット・コネクタ2から送信されます。onPC では、ソフトウェアによって設定されるため、有効な Art-Net IPアドレスを作成する必要はありません。コンピュータに有効な Art-Net アドレスがある場合は、そのアドレスが用いられます。また、複数の有効なアドレスがある場合、最初に見つかったアドレスが用いられます。
イーサネット・コネクタ1に、有効な Art-Net IPアドレスを指定しないでください。
ETC-Net2
ETC-Net2 は、ETC (Electronic Theater Control - www.etcconnect.com ) によって開発され、1997年に導入されました。
MA は、ETC-Net2 として、DMXユニバースの1つの範囲の送信に対応しています。これは、古いETCディマーやDMXノードとの通信に対応するために実装されています。レシーバが対応している場合は、sACN を利用した方がよいかもしれません。
いくつかの選択肢があります(ここでは 上述の一般的な設定 にないものだけを説明)。
Active - これを 'On'にすると、卓は ETCNet2 を送信します。無効の場合、セルは空欄になります。これは、画面の右側にあるボタンでも切り替えられます。
Groups - ETC-Net2 は、マルチキャスト・グループによって送信を単純にし最適化します。ここで、送信するグループを選択できます。
Priority - 最も低い番号が、最も高い優先度を持ちます。
Pathport
Pathport は、Pathway Connectivity (www.pathwayconnect.com )によって作られました。
MA は、Pathport として、DMXユニバースの1つの範囲の送信に対応しています。これは、古い Pathway DMX ノードとの通信に対応するために実装されています。レシーバが対応している場合は、sACN を利用した方がよいかもしれません。
いくつかの選択肢があります(ここでは 上述の一般的な設定 にないものだけを説明)。
Active - これを 'On'にすると、卓は Pathport を送信します。無効の場合、セルは空欄になります。これは、画面の右側にあるボタンでも切り替えられます。
sACN (streaming ACN)
ACN (および streaming ACN)は ANSI/ESTAの国際標準です。
詳しくは、en.wikipedia.org/wiki/Architecture_for_control_networks を参照してください。
ACN (Architecture for Control Networks) はプロトコル・スイートです。これは、現在 grandMA によってサポートされていない多くの要素を含んでいます。しかし、ACN プロトコルには、DMXデータを転送するための簡易バージョンもあります。これは、'Lightweight streaming protocol for transport of DMX512 using ACN'、より一般的には "streaming ACN" または "sACN" と呼ばれています(国際標準 E1.31)。
いくつかの選択肢があります(ここでは 上述の一般的な設定 にないものだけを説明)。
Valid - 行が有効な場合、セルに "Yes" と表示されます。有効な行だけがデータを送受信します。
Requested - ラインが要求されているかどうかを設定できます。無効(空欄)にすると、Valid が No になり、sACN データを送受信を行いません。
Mode - OutputMulticast 、OutputUnicast 、InputMulticast 、および InputUnicast のいずれかを選択します(後述を参照)。
Destination IP - Mode が OutputUnicast の場合にのみ利用できます。これは、レシーバのIPアドレスです。
sACN Universe - DMXデータを送受信するための sACN ユニバースです(1〜64000)。
Priority - 0〜200の値を設定できます。値が大きいほど優先度が高くなります。デフォルト値は100です。
Protocol - sACN プロトコルの "Draft" または "Final" リリースのいずれかを選択できます。一部の機器では、Final バージョンがリリースされる前に、sACN の Draft バージョンが実装されています。このようなデバイスを動作させるには、"Draft" に変更する必要があります。
Delay(ms) -
これは、ネットワーク内のトラフィックを低減させるために用いられます。古くて遅いネットワーク・ノードでは、10 ユニバースを、バーストで受信すると、1つずつ受信するのとでは大きな違いがあります。
Mode
Mode のセルを編集すると、上述の入出力モードを選択できるポップアップが開きます。
Select Mode ポップアップ - sACN モード
入力と出力のいずれかを選択でき、それぞれについてユニキャストまたはマルチキャストに指定できます。
OutputMulticast:
sACN が、関連するマルチキャスト・アドレスにマルチキャストとして送信されます。
OutputUnicast:
これを選択した場合、有効なIPアドレスを Destination IP 列に入力する必要があります。この行に設定されているユニバースは、指定したIPアドレスにユニキャストとして送信されます。
InputMulticast:
関連するDMX入力ユニバースのマルチキャスト・グループに参加します。
ユニバースは、最大で10に制限されます。InputMulticast として、10行を超えて設定を行った場合、超過行はすべて無効になります。
InputUnicast:
制限はなく、マルチキャスト・グループに加わらずに、関連ユニバースの sACN データを受信します。
grandMA2 卓の sACN 入力は、優先度を無視します。
Shownet
Strand Shownet は、Strand Lighting (www.strandlighting.com ) によって作られたプロトコルです。
MA は、Shownet としてDMXユニバースの1つの範囲の送信に対応しています。レシーバが対応している場合は、sACN を利用した方がよいかもしれません。
いくつかの選択肢があります(ここでは 上述の一般的な設定 にないものだけを説明)。
Active - これを 'On'にすると、卓は Strand Shownet を送信します。無効の場合、セルは空欄になります。これは、画面の右側にあるボタンでも切り替えられます。
重要
Shownet は、ブロードキャスト・プロトコルですが、 Ethernet 1 のコネクタから送信されます。
KiNET
KiNET は、Philips Color Kinetic (www.colorkinetics.com/ )によって開発されたプロトコルです。
MA は、DMXユニバースのいくつかの範囲の送信に対応しています。
いくつかの選択肢があります(ここでは 上述の一般的な設定 にないものだけを説明)。
Valid - 行が有効な場合、セルに "Yes" と表示されます。有効な行だけがデータを送信します。
IP Address - レシーバのIPアドレスです。
重要
KiNET は、ブロードキャスト・プロトコルですが、 Ethernet 1 のコネクタから送信されます。