ネットワーク設計

grandMA3 システムを拡張すると、適切に動作するネットワークの構築が複雑になる可能性があります。

小規模なシステムでは高価なスイッチやインフラは不要かもしれませんが、grandMA3 システムを拡張していくと、ネットワーク・インフラもそれに見合ったものが必要になってきます。

一般的な制御システム要件

上述の一覧では、ネットワークを適切に構成するために従うべき一連のルールが定義されています。


ネットワーク速度

grandMA3 ネットワークで送信されるデータ量は、grandMA3 デバイスとパラメータ数によって異なります。

grandMA3 システムは、常にネットワーク内の1つの最大利用セッションに基づいて定義されます。この最大値については、セッション を参照してください。

これを考慮すると、MA-Net3 プロトコルには1Gbit/sのネットワーク速度が必要です。これは、スイッチ上のポートが "Access" ポートとして構成され、少なくとも1Gbit/sの能力が必要であることを意味します。

「ブロードキャスト・ドメイン」での最大遅延は2ミリ秒以下でなければなりません。

MA-Net3 プロトコルはマルチキャストを使用しています。また、すべての grandMA3 デバイスは、IGMPメンバーシップ要求に対応しています。

すべてのデバイスは、同じ帯域幅を使用する必要があります。100Mbit/sの速度しか出ないDMXストリーミング・プロトコル(Art-Net など)を変換する古いネットワーク・ノードがある場合、このプロトコルは、この速度に制限された別のVLAN(またはネットワーク)に分離する必要があるということです。

ギガビット・ネットワークにおいて、MA-Net3 に確保される平均帯域幅は200Mbit/sです。MA-Net3 では、トラフィック・シェーピングはできません。

ケーブルの品質と長さ

ネットワーク速度は1Gbit/sと定義されているため、ケーブルの品質は Cat.5e 以上でなければなりません。

ケーブル長は、固定設備用の規格(EN 50173)で定められています。これには、従うべき設置に関する一連の規則が規定されています。

仮設の場合は、異なるタイプのケーブル(撚り線/パッチケーブル)が使用されますが、適切な固定設備(ソリッドコア・ケーブルを使用)と同じ長さはサポートされません。このようなシステムでは、デバイス間の最大長を75メートル/246フィートにすることを推奨します。この長さは、MA Lighting が新しい品質のケーブルを用いてテストしたものです。損傷したケーブルは使用しないでください。

これらの長さは、grandMA3 卓とスイッチなどのデバイス間の距離とほぼ同じです。

スイッチ間の接続では、速度が1Gbit/sを超える可能性があるため、要求がより高くなります。

スイッチの設置

複数のスイッチがあって、それらが複数の MA-Net3 で使用される場合、MA-Net3 を別のVLANに分離することをお勧めします。

MA-Net3 は1Gbit/sを利用可能と想定しているため、スイッチが他の処理も行う場合は、スイッチ間に1Gbit/sを超える接続が必要になることを考慮してください。

複数のスイッチを使用する場合、スイッチ間でマルチキャストを正しくルーティングするために、スイッチが Protocol Independent Multicast (PIM) に対応していることを確認してください。

スイッチは、再起動後にすべてのポートが同時にオンラインになる必要があります。現時点では、ポートごとの遅延リブート動作はサポートされていません。

MAシステムで使用されるIPアドレスは、プライベート・インターネットでのアドレス割り当てに関する勧告 RFC-1918 に従う必要があります。

MA ワールドサーバが必要な場合は、VLAN(または別のネットワーク)を使用する必要があります。このネットワーク・セグメントは、インターネットにルーティングする必要があります。

最善のネットワーク運用のための帯域幅計算

MA デバイスのDMX出力には、30Hzのリフレッシュ・レートが必要です。したがって、すべての「リアルタイム」データは33ミリ秒以内に存在している必要があります。

目に見えるジッタを避けるために、同期データ・パケットにはシステム全体で2ミリ秒の最大遅延が許容されています。

33ミリ秒のリフレッシュ間に、必要なデータをすべてエンド・デバイスに転送する必要があります。

最大で262,144個の24ビット・パラメータが可能ですが、1024ユニバースに制限すると、異なるビット幅が混在した場合の計算しかできません。ここで、262,144個の16ビット・パラメータとすると最大で1024ユニバースとなるため、帯域幅は以下のようになります。

1,024ユニバース × 512パケット × 10ビット × 30Hz = 158 MBit/s

これが、(上述の要件にある)「リアルタイム」トラフィックを通過させるために必要な平均帯域幅になります。同時に、遅延は2ミリ秒を超えることはできません。これは、可能な最大のDMXデータによる最悪のケースを想定した、QoS (Quality of Service)の定義についても示しています。

DMXデータ以外にも送信すべきデータがあるため、ギガビット・システムの平均帯域幅は200MBit/sに設定されています。

特に大規模な設備では、ショーのアップロードを高速化するために、より高い帯域幅が必要になる場合があります。

追加のイーサネットDMXプロトコルを併用したり、Webリモートを使用したりする場合は、さらに大きな帯域幅が必要になります。

追加のイーサネットDMXデータについても同様に計算して、その帯域幅を加える必要があります。

ネットワーク環境のテスト

grandMA3 ネットワーク・システムは、セッション内のどのデバイスでもデータの再送信やDMXの欠落がない場合、スムーズに動作しているものとして認識されます。

システム全体におけるデータ・パッケージの再送は、セッション内の各デバイスの System Monitor に表示されます。セッションの安定性と信頼性は、ネットワーク品質の指標となります。その逆も同様です。

再送とは、データ・パッケージが順当に、あるいはまったく宛先に到着していないことを意味します。このとき、どの程度の再送回数が許容されるかという疑問が生じます。言い換えれば、ネットワークの安定性を懸念する必要があるのはどのような場合かということです。

定量的な答えありません。それは状況に応じた度合いです。

ここでは、ネットワーク・セッション処理の品質を保証するためのガイドラインを以下に示します。

重要
ショーのアップロード中は、すべてのレイヤで多くの通信が行われるため、再送が非常に多くなることが予想されます。 システムは安定していると考えられます。

セッション内でのDMXの欠落は、はいかなる場合にも許されません。