OSC (Open Sound Control)
OSCは、受信サーバ内の要素を扱うためにメッセージ・アドレスパターンを指定するクライアント/サーバ・システムです。
grandMA3 ソフトウェアは、OSC 1.1 をサポートしています。
OSC (Open Sound Control) は、さまざまなタイプのデバイスが他のタイプのデバイスを制御するために利用されるネットワーク・プロトコルです。OSC は、MSC (MIDI Show Control) などとは異なり人が読めるようなになっており、以下の一般的パターンにしたがいます。
"(/プレフィックス)/[OSCアドレス],[OSCタイプ],[値]"
プレフィックス - これは、システム構成に依存するオプションです。より複雑なOSCネットワークにおいて、あるデバイス(例: 照明卓)に向けたメッセージと、他のデバイス(例: 音響卓)に向けたメッセージを区別するために利用できます。
OSCアドレス - 受信デバイス上の制御対象です。例えば /Fader201 は、grandMA3 でエクゼキュータ201のフェーダを動かすためのアドレスになります。アドレスがより複雑になる場合もあります。例えば /Page1/Fader201 は、grandMA3 のページ1にあるエクゼキュータ201のフェーダを動かすためのアドレスになります。
OSCタイプ - 送信する値の型です。例えば以下のようなものがあります。
i = integer
f = float
s = string
t = true
f = false
値 - 実際にターゲットに送信する値です。
以下は、エクゼキュータ201のフェーダを100に設定するOSCコマンドの例です。
"/Page1/Fader201,i,100"
"/gma3/Page1/Fader201,i,100" (プレフィックスで grandMA3 デバイスだけを指定)
OSCアドレス、タイプ、構造については、SendOSC キーワード を参照してください。
OSCの設定を行うには、In & Out ウィンドウで OSC をタップしてください。
OSC 設定ウィンドウが開きます。
OSC 設定ウィンドウ
ヒント
上例では、プレフィックスが指定されていないことに注意してください。
最も重要なOSC設定は、的確なネットワーク・コンフィグレーションです。
IPアドレス、ネットワーク・プロトコル(UDP、TCP)、およびポートが正しく設定されていることを確認してください。
OSC ネットワーク・コンフィグレーション
ヒント
OSCデータの送受信には、ポート設定が用いられることに注意してください。
OSCメッセージを受信すると、タイトルバーで Input が強調表示されます。OSCメッセージを送信すると、タイトルバーで Output が強調表示されます。
各OSC設定行は、入出力のために使用できます。
以下のプロパティを設定できます。
Name: このコンフィグレーションに対する名前を設定します。
Destination IP: OSCデータを送信するためのIPアドレスを設定します。特定のIPアドレスまたはブロードキャストIPを設定できます。
Mode: OSCパケットは、UDPまたはTCPで送信できます。
Port: OSCパケットの送受信に用いるネットワーク・ポートを指定します。
Prefix: 必要に応じてプレフィックスを設定できます。プレフィックスは、受信可能な範囲を制限するための基準として利用できます。例えば、/lighting は、これを持つパケットだけを受け入れ、/sound というプレフィックスを持つOSCパケットは破棄します。
Page: 受信OSCメッセージのどのOSCアドレスをページに送るかを指定します。
Fader: 受信OSCメッセージのどのOSCアドレスをフェーダに送るかを指定します。
ExecutorKnob: 受信OSCメッセージのどのOSCアドレスをミニエンコーダに送るかを指定します。
Key: 受信OSCメッセージのどのOSCアドレスをキーに送るかを指定します。
FaderRange: フェーダに対して用いられるOSC値の範囲を指定します。例えば、FaderRange 255 は、OSC 0〜255 を 100%に設定します。
Receive: OSCデータ(コマンドは除く)を受信するかどうかを指定します。
Send: このOSC設定が、OSCデータ(コマンドは除く)を送信するかどうかを指定します。
ReceiveCmd: コマンドラインのコマンドをOSCで受信するかどうかを指定します。この設定は、一般的な受信設定から独立しています。
SendCmd: コマンドラインのコマンドをOSCで送信するかどうかを指定します。この設定は、一般的な Send 設定から独立しています。
EchoInput: 入力データを System Monitor に表示するかどうかを指定します。
EchoOutput: 出力データを System Monitor に表示するかどうかを指定します。
ReceiveAll 、ReceiveNone 、SendAll 、SendNone 、ReceiveCmdAll 、ReceiveCmdNone 、SendCmdAll 、SendCmdNone ボタンを用いると、すべてのOSC設定行に対して Receive、Send、ReceiveCMD、および SendCmd の各プロパティを一括変更できます。
ヒント
Page、Prefix、Fader、ExecutorKnob、および Key に定義されているアドレスでは、大文字と小文字が区別されます。
上述のOSCコマンドの例に加え、OSCアドレスに "/cmd" を指定し、OSCタイプに 's' (string) を用いると、OSCを介して grandMA3 のコマンドラインにアクセスできます。注意 - "ReceiveCmd" を Yes に設定しておいてください。
以下に例を示します。
"/cmd,s,FaderMaster Page 1.201 At 100"
ページ1のフェーダ201を100%にします。上述の例と同じですが、代わりに grandMA3 のコマンドライン構文を用います。
"/cmd,s,Fixture 1 At 75"
grandMA3 のコマンドライン構文を用いて、"Fixture 1 At 75" というコマンドをコマンドラインで実行します。
"/cmd,s,Go+ Exec 402"
エクゼキュータ402に割り当てられているものをトリガーします。
"/cmd,s,Patch Fixture 1 3.42"
フィクスチャ1を、ユニバース3のアドレス42にパッチします。
OSCの使用例
grandMA3 をトリガーするための一般的なプログラムとして以下のものがあります。
TouchOSC
TouchOSC は、hexler.net (外部リンク) による Windows、macOS、および Android 要のモジュラーOSCおよびMIDIコントロールサーフェスです。
Wi-Fi および CoreMIDI によるアプリ間通信と互換ハードウェアによる、Open Sound Control と MIDIメッセージの送受信に対応しています。
フェーダ
この例では、ページ1のエクゼキュータ230のフェーダを制御します。
注意:
卓の OSCData 行に "gma3" というプレフィックスが設定されているとします。Prefix が空欄の場合は、/Page1/Key230 となります。
卓の OSCData 行で "Page" と "Fader" セルがそれぞれ "Page" と "Fader" に設定されているとします(デフォルト)。
エクゼキュータ・ボタン
この例では、ページ1のエクゼキュータ230のボタンを押します。
注意:
卓の OSCData 行に "gma3" というプレフィックスが設定されているとします。Prefix が空欄の場合は、/Page1/Key230 となります。
卓の OSCData 行で "Page" と "Key" セルがそれぞれ "Page" と "Key" に設定されているとします(デフォルト)。
{Send on Press} と {Send on Release} 設定(上の画面例にはありません)の両方を有効/チェックする必要があります。
QLab
QLab は、qlab.app (外部リンク) による macOS 用の、サウンド、動画、照明コントロールです。
QLab では、OSC を簡単に利用できます。以下は、この例における QLab ネットワーク設定です。
Name = このコンフィグレーションを特定するための名前
Network = grandMA3 システムに接続されているコンピュータのネットワーク・インターフェース
Destination
grandMA3 卓のIPアドレス
卓の OSCData 行で設定されているポート(デフォルト 8000)
そして、QLab でキューの設定を以下のように行います。
Destination = 上述の "Network Cue Destination Patches" で設定されているコンフィグレーション
Type = OSC message
目的のOSCメッセージを入力
OSCアドレス - この例では、コマンド構文の文字列を直接送信しているので /gma3/cmd です。
卓の OSCData 行に "gma3" というプレフィックスが設定されているとします。Prefix が空欄の場合は、/cmd となります。
卓で、その OSCData 行に対する "ReceiveCmd" を有効にしておいてください。
引数 - コマンド構文を引用符で囲んで入力します。
例: "Go Sequence 2" (シーケンス2で次のキューに進む)
Open Stage Control
Open Stage Control (外部リンク) は、簡単なOSCインターフェースを構築できるフリー・ソフトウェアです。
最初に開いたとき、いくつかのネットワーク・コンフィグレーション設定のための入力を求められます。コンピュータで使用するネットワーク・インターフェースの指定以外に、ここで入力する項目は port だけです。
これは、卓の対応する OSCData 行で設定されているポートと一致している必要があります。ポートのデフォルトは 8000 です。設定後、Open Stage Control のセッションを開始できます。
フェーダ
この例では、ページ1のエクゼキュータ230のフェーダを制御します。
注意:
卓の OSCData 行に "gma3" というプレフィックスが設定されているとします。Prefix が空欄の場合は、/Page1/Fader230 となります。
卓の OSCData 行で "Page" と "Fader" セルがそれぞれ "Page" と "Fader" に設定されているとします(デフォルト)。
上の画面例の設定は、以下を除きすべてデフォルトの状態です。
Fader 設定: Range: 'max' を 1 から 100 に変更
OSC 設定: address
エクゼキュータ・ボタン
この例では、ページ1のエクゼキュータ229のボタンを押します。
注意:
卓の OSCData 行に "gma3" というプレフィックスが設定されているとします。Prefix が空欄の場合は、/Page1/Key229 になります。
卓の OSCData 行で "Page" と "Key" セルがそれぞれ "Page" と "Key" に設定されているとします(デフォルト)。
上の画面例の設定は、OSC 設定の address を除き、すべてデフォルトの状態になっています。
Open Stage Control のボタンはデフォルトで 'toggle' として機能しますが、これを 'tap' に変更できます。
コマンドライン構文
卓でコマンドライン構文を実行するボタンです。この例では、選択されたシーケンスをトリガーします。
注意:
卓の OSCData 行に "gma3" というプレフィックスが設定されているとします。Prefix が空欄の場合は、/cmd になります。
卓で、その OSCData 行に対する "ReceiveCmd" を有効にしておいてください。
上の画面例の設定は、以下を除きすべてデフォルトの状態です。
address
preArgs - 実行する構文文字列をここに入力します。
Open Stage Control のボタンはデフォルトで 'toggle' として機能しますが、これを 'tap' に変更できます。