トラッキングとは

トラッキングは、キューに変化だけを保存するという仕組みです。

フィクスチャが青色で点灯している場合、変更の指示があるまで、そのままの状態にとどまります。オンの指示があるキューとオフの指示があるキューとの間に、キューがいくつあっても関係ありません。

オン/オフが切り替わる間の各キューが、フィクスチャを青色で点灯させるという情報を持つ代わりに、それを一度保存するだけですみ、そこからトラッキングされます。

簡単に言えば、トラッキングとは、パラメータにレベルが一旦設定されると、それを変更するように指示されるまで、そのままでいるということです。

 

フィクスチャ1は、キュー1に、青のディマー値100%で保存されます。8つのキューがあり、フィクスチャ1に新しい情報が与えられない場合、すべてのキューで青の100%のままです。

情報を確認するのに最もよいのは Sequence Tracking シート です。


キュー1にフィクスチャ1の値が保存

キュー1の値と他の値との、文字色の違いに注目してください。マゼンタは、値が実際にはキューに保存されていなく、前のキューからのトラッキング値であることを表しています。

ここで、フィクスチャの色を赤に変え、ディマー値を再び100%に設定します。

これをキュー4として、Merge で保存すると、下のようになります。


キュー4でフィクスチャ1が新しい色 - ディマーがブロック

ディマー値の文字色が白になっています。これは、値が保存されていて、それがトラッキング値と同じであることを表しています。これは「ブロックされた」値と呼ばれます。前のキューのいずれかで値を変更しても、キュー4は100%のままになります。キュー1からのトラッキング値は(同じ値で)ブロックされ、キュー4に保存されている値が最後までトラッキングされます。

キュー4の新しいRGB値の文字色はシアンになります。これは、新しい値が保存されていて、変更された値が残りのキューでトラッキングされることを意味します。

冗長な保存値を削除すると、キューからディマー・データが削除されます。これは「ブロックの解除」とも呼ばれます。


キュー4でフィクスチャ1が新しい色 - ディマーのブロックが解除

これを行うには、いくつかの方法があります。1つは、Tracking シートの値を編集することです。詳しくは Sequence Tracking シート を参照してください。

もう1つの方法は、フィクスチャ1のディマー値をプログラマでアクティブにしてから、キュー4を "Remove" オプションで保存することです。これによって、キューからディマー値が削除されます。

3番目の方法は、以下のようなコマンドを用いることです。

[Channel]> Unblock Sequence 9

これによって、シーケンス9全体から、冗長な白の値がすべて削除されます。

 

Cue Only

上述のように、トラッキングが有効で、値がキューに保存された場合、後続キューはそれをトラッキングします。

Cue Only を用いて値が保存された場合、アトリビュートに以前のトラッキング値があると、新しい値はトラッキングされません。古いトラッキング値は、自動的に、新しい値の次のキューに保存されます。

以下のシーケンスを見てください。


変更前のシーケンス

今度は、フィクスチャ2に、新しいディマー値と位置を設定します。これは、Cue Only を用いてキュー1に保存されています。

結果は下のようになります。


Cue Only で保存された新しい値

新しい値は、キュー1に保存されています。キュー2と後続のキューは変更されていないことに注目してください。Cue Only 機能は、フィクスチャ2に対して前からトラッキングされたディマー値と位置を、キュー2に保存します。

Cue Only を用いずに値を保存した場合は、下のようになります。


Cue Only を用いずに変更されたシーケンス

この場合、キュー2が異なっていて、後続のすべてのキューは、キュー1で保存された新しい位置を用います。

 

Release

Release オプションを用いて保存する場合があります。Sequence Tracking では、(R) と表示されます。

アトリビュートがシーケンスで解放されている場合、アトリビュートに何も情報を送らないシーケンスと同じです。

別のシーケンスがアトリビュートに値を送っている場合、これらの値が用いられます。この場合、シーケンスの優先度が重要になります。優先度については、キューの再生 - Priority を参照してください。

 

Release First Step

エクゼキュータのオプション には、Release Firststep というオプションがあります。これは、Wrap Around という別のオプションが有効な場合に関係します。

Assign を押してから、エクゼキュータに関連するキーの1つを押すと、エクゼキュータのオプションに入れます。これにより、Assign メニューが開きますので、右側にある Options ボタンをタップしてください。

Wrap Around は、シーケンスの最後のキューに達した後で Go コマンドを実行した場合、先頭/最初のキューに戻すことができます。

Release First Step は、トラッキング値をどう扱うかを制御します。これが無効な場合、最後のキューから最初のキューへとトラッキングを行います。また有効な場合は、シーケンスが最初から開始されたときに、トラッキング値が解放されます。

Release First Step は、シーケンスに影響するオプションなので、同じシーケンスを使用するすべてのエクゼキュータで同期されます。また、Wrap Around はエクゼキュータの設定ですので、同じシーケンスを持つエクゼキュータは、Wrap Around に関する種々のオプションを持ちます。

 

トラッキングのオン/オフ

エクゼキュータのオプションの Tracking で、トラッキング機能のオン/オフを切り替えられます。

このオプションは、シーケンスに属しますので、そのシーケンスを使用するすべてのエクゼキュータで同期されます。

トラッキングがオフの場合、トラッキング値はなくなり、値がトラッキングされていた場所では、それが解放されます。

Cue Only の例で用いられているシーケンスを見た場合、トラッキングがオフだと下のようになります。


トラッキングがオフのシーケンス

フィクスチャ1と3は、キュー2でのみオンになります。フィクスチャ2は、キュー1でオンになり位置が設定されます。キュー2で、それがオフになり、位置が解放されフィクスチャのデフォルトに戻ります。フィクスチャ2は、キュー3で再びオンになり、キュー4でオフになります。他のシーケンスも同じフィクスチャを制御しようとしていて、それらがオフになることを確実にしたい場合を除いて、オフ(closed)値を保存する必要はありません。