オートトランス

なぜ調光できるのか

白熱球の調光には、古くは水抵抗式などというものもあったと聞いたこともありますが、一般には最初は、オートトランスとかスライダックでしょう。
オートトランスは見たことがない人も最近はいるかもしれませんが、少なくともスライダックは知っていると思います。丸い円柱状の形(四角形もありますが)でつまみが付いていて0-130ボルトの可変が一番多いでしょう。
原理はトランスのタップを連続的に切り換えていくもので構造も非常に簡単です。
欠点はやはり容量が増えると大きくて重いことや、機械的に(つまみを回す)しか制御ができませんから多チャンネルのコントロールは大変ですし、調光操作は肉体労働に等しいでしょう。
劇場でのオートトランス式の調光はトランスを一部屋にまとめ(ユニット室とでも言いましょうか)それぞれからワイヤーを操作室までひっぱってきて機械的に操作していました。
知らない人は知ってる人に聞いてみましょう。35歳以上の人は(もちろん照明やってる人)一度は見たことがあると思いますが。
良い所は電源の波形の高さが変わるだけで波形そのものは変わらないので、サイリスタのような調光ノイズは発生しません。

オートトランスの調光波形
オートトランスの調光波形

サイリスタ調光

オートトランスに変わって登場したのがサイリスタ(トライアックはサイリスタの一種)による半導体調光です。
調光の原理はサイリスタがスイッチだと考えてください。下の絵のように半導体がスイッチの働きをします。スイッチをオンにすると当然電球は100%で点灯します。オフにすると消えます。

これはあたりまえ
では、このスイッチのオン、オフをだんだん早くしていきます。
電球は最初のうちはスイッチに応じて点滅していますが、さらに早くスイッチを動かしていくとどうなるでしょう。
電球は100%まで付かずに暗くなって点灯していると想像できるでしょう。仮にオンになっている時間とオフになっている時間が同じであれば半分ぐらいの明るさで(厳密には照度が半分ではありませんが)光ると想像できるでしょう。
これが調光の原理です。実際には商用電源(100Vの電源)は交流なのでスイッチのオンになるタイミングによって明るさが変わってきますから、電源に同期して常に同じタイミングで一秒間に100回(50Hzの時)のオン、オフを繰り返すようになっています。まあその辺はよいとして、とにかくスイッチがオン、オフしているということで何となく判ってもらえたでしょうか。


サイリスタ調光の様子

この方式の欠点はやはり調光ノイズでしょう。
スイッチがオンになるときに電圧が急に立ち上がるのでそこでノイズが発生します。サイリスタの動作上仕方がありません。このためコイルを使ってフィルタというものを作り、電源の立ち上がりを少し緩やかにしてノイズを減らしています。
最近では他の半導体(IGBTというものなど)を使ってサイリスタとは逆の動作でノイズを減らしているものもあります。(電圧が立ち下がる時は急でもノイズはほとんど発生しません。)こちらはコイル不要ですが、制御回路が複雑になり難しいのでまだまだ市場にはほとんど出てきていません。(私の知る限りではRDSで扱っているIPSディマーだけです。)


IGBTなどによる調光波形

サイリスタでは素子の性格上この波形での制御はできません。

サイリスタ調光の良い点は電気的にコントロールできますから多チャンネル制御も楽々です。またオートトランスに比べて小型で高性能です。
最近はデジタルディマーもだいぶ出回ってきていますが、最終的に100Vを制御しているのはアナログもデジタルもサイリスタやトライアックなどによるスイッチのオン、オフです。

ここまでが調光ユニットの原理です。わかりました?

オートトランスの調光


サイリスタ調光

右のフェーダを動かしてみてください →

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