MIB の操作

このトピックでは、MIB (Move In Black)の詳細について述べます。初めてMIBを扱う場合は、まず MIB とは を読んでおくとよいでしょう。

MIB値

MIB値は、Sequence Executor シート の MIB 欄に割り当てます。

MIB 欄に "*" (アスタリスク)がある場合、キューでMIBが可能ですが、まだMIB値が指定されていないことを表しています。
MIB値が赤で表示されている場合、 MIB値が指定されていますが、そのキューではMIBを行えないことを表しています。
「MIB の可能性」は、ゼロより大きなディマー値を持つ1つまたは複数のフィクスチャのキュー、ゼロより大きな値ではないディマー値の前状態(= フィクスチャのフェードが終わっている)、 1つまたは複数の付加的アトリビュート(= 事前位置決めのための)、として定義されます。

MIB セルを編集すると、下のようなポップアップが開きます。


Select MIB ポップアップ

先頭に3つのオプションがあり、その後にすべての前キューの一覧があります。ここには、編集前に存在するキューだけが表示されます。

このポップアップで表示されているもの以外に、以下のオプションがあります。

 

コマンドラインによるMIBの設定

MIBはキューパートのプロパティです。その値は標準的な構文で割り当てることができます。

[Channel]> Assign Cue /MIB=late

現在のキューとそのすべてのパートに対して、MIB値 "Late" を割り当てます。


[Channel]> Assign Cue 101 /MIB=99

キュー101に対するMIB値としてキュー99を割り当てます。


[Channel]> Assign Cue 1 Thru 10 / MIB=Off

キュー1〜10のMIBを解除します。


[Channel]> Assign Cue 15  / MIB=-4

キュー15に "-4" というMIB値を割り当てます。キュー11〜15が存在するとして、キュー15への事前位置決めをキュー11で行います。

 

以下のような MIBマクロを用いると便利です。

Assign Cue /mib=off

SetVar $mibvalue=("Please enter MIB")

Assign Cue /mib=$mibvalue

Macro と Please を押すと、現在キューのMIBが解除されます。さらに Macro を押し数値を入力して Please で確定すると、現在キューに対してMIB値が設定されます。

 

MIBタイミング

MIBは、MIB Delay および MIB Fade という2つの全般的なタイム設定を用います。

MIB Delay は、フィクスチャがフェードアウトしてからMIBが開始するまでの待ちタイムです。MIB Fade は、事前位置決めに用いられる実際のタイムです。

変化が遅いディマーや残光のあるフィクスチャに対しては、MIB Delay を大きくするとよいでしょう。また、動作音が大きかったり、動きが観客に対して見苦しくなったりするようなフィクスチャに対しては、MIB Fade を大きくするとよいでしょう。

これら2つの設定は、Setup -> Show -> Playback  MIB Timing にあります。


全般的なMIBタイミングに加え、Fixture Types Editor によって、MIB Fade を個別に設定したり、フィクスチャタイプ毎の各アトリビュートについてMIBを無効にしたりすることも可能です。また、フィクスチャごとにMIBを無効にすることもできます。これは Fixture Editor ポップアップで設定できます。

フィクスチャタイプ毎の各「モジュール定義」に対する MIB Delay の設定も可能です。

 

MIBフィードバック

MIB Delay がアクティブか "保留中" の場合、エクゼキュータ・キーのバックライトが速く点滅します。

MIB Fade がアクティブ(フィクスチャが位置決め中)の場合は、エクゼキュータ・キーのバックライトがゆっくり点滅します。

MIB をともなうアトリビュートは、以後のキューから値を得ることを示すために、Fixture シートの ExecutorID および SequenceID レイヤにおいて、通常の背景色(選択されているエクゼキュータに対しては緑、他は黄色)よりも薄暗く表示されます。
色表示については、システム色 を参照してください。

 

落とし穴

MIBを使用している場合、卓は以前のキューからの値をトラッキングするだけではなく、現在以降に対してもトラッキングを行い、まだ実行されていない将来のキューからの値も出力します。そのため、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のように、タイムトラベルのジレンマに陥るかもしれません。

上の例を見ると、フィクスチャは、キュー1において青で点灯し、キュー2で消灯します。そして、キュー4で赤に戻ります。

キュー4で赤にスクロールするのを見えないようにしたいため、このキューの MIB を Early と設定します。

さて、キュー2.5にいるとして、いくらかの変更を加えましょう。

次回このシーケンスを再生したとき、キュー2.5は同じようは見えません。

前回シーケンスを再生したときは、キュー4に対する事前位置決めが行われていたため、フィクスチャ1は赤になっていました。しかし今度は、そのフィクスチャがキュー2.5で使われるため、キュー3でフェードアウトが終わるまで位置決めを行えません。そのため、キュー2.5でフェードが終わったとき、青になります。

こうした問題は、あまり早すぎる事前位置決めを行わないようにし、またキューに大きな変更がある場合は、エクゼキュータのオプションで "MIB Never" を有効にすることによって、最小限にとどめられるでしょう。このオプションについては、エクゼキュータのオプション で述べられています。