プリセット

プリセットは、フィクスチャ・セレクションのアトリビュートとタイミング値の情報を保持でき、キューやプログラマで参照したり再利用したりできます。

プリセットの原理は、実際の値そのものではなく、ラベル付けされた参照をキューに保存することです。あるいは、ライブなどでプリセットを利用し、その場でプログラマに呼び出したり再生したりできます。

プリセットを更新した場合、キューは実際のプリセット内容ではなくプリセットを参照するため、キューを更新する必要はありません。

プリセットは、シアンのマーカで表されます。このマーカは、プリセットを使用しているキューや、Tracking Sheet、または Fixture Sheet などの値自体に表示されます。詳しくは マーカ色 を参照してください。

ヒント
プログラミングの際にプリセットを利用すると、特にさまざまな場所や相手に対して利用されるショーにおいて、作業が容易になります。

プリセットプール

プリセットはプールに保存されます。フィーチャグループごとにプールがあります。これらのプールにはデフォルトの入力フィルタがあり、そのフィーチャグループの値だけがプリセットプールに保存されるようになっています。 また、"All 1" 〜 "All 5" という5つのプリセットプールもあります。これらにはデフォルトの入力フィルタがなく、任意のアトリビュート値を保存できます。詳しくは プリセットプール を参照してください。

プリセットモード

プリセットモードは、プリセットの保存(または更新)および呼び出し時に用いられます。

Selective、Global、および Universal という種類のプリセットモードがあります。

各プリセットには、そのプリセットモードを示す文字マーカが表示されます。

例:


プリセット4には、3つのモードがすべて保存されていますが、表示は U と S だけです。

以下の3種類のモードがあります。

プリセットの保存や更新を行う際には、さらに以下の2つのオプションがあります。

各プリセットには、3つのモードすべて、またはいくつかのモードを組み合わせて保存できます。

各プリセットプールには、デフォルトのモード設定があります。このモードは、プールのタイトル部分の右上隅に文字マーカで示されます。


Position プリセットプールのタイトル部分 - プールに対するデフォルトのモードは Selective

このデフォルトは、プリセット保存時に用いられますが、別のモードにすることも可能です。

詳しくは プリセットの新規作成 および プリセットの利用 を参照してください。

Absolute および Relative 値

プリセットには、Absolute や Relative 値を保存できます。Relative 値は、マルチステップ・プリセットでよく用いられますが、この用途に限定されているわけではありません。

例:


Absolute、Relative、および両方の値を持つプリセット

Absolute 値のみを持つプリセットにはマーカがありません。Absolute 値のマーカは暗赤の角丸四角形です。Relative 値は、暗ピンクの角丸四角形マーカで示されます。プリセットには、Absolute と Relative 両方の値を含めることができます。その場合、両方のマーカが表示されます。

プログラマのレイヤについては、プログラマとは を参照してください。またマーカについては、マーカ色 を参照してください。

タイミング値

プリセットにはタイミング値を保存できます。Timing レイヤには Fade と Delay があります。

例:


Fade、Delay、および両方の値を持つプリセット

Fade マーカは緑、Delay マーカはオレンジ色で表示されます。

タイミング値では、Absolute 値と Relative 値と組み合わせることができます。

デフォルト・アクション

プリセットプールには、プール・オブジェクトに対するデフォルトのアクションがあります。このアクションは、コマンドラインで(関連する)キーワードを指定せずに、プール・プリセットをタップしたときに実行されます。

プールのタイトル・オブジェクトの右上隅にある小さなアイコンは、選択されているデフォルト・アクションを示しています。

アクションは、Preset Pool Settings で設定します。詳しくは ウィンドウの設定 - プールのデフォルト・アクション を参照してください。

フィーチャグループ・インジケータバー

このバーは、プリセットに2つ以上のフィーチャグループのアトリビュートが保存されている場合に表示されます。

All プリセットには、バーが常に表示されています。


プリセット下部のフィーチャグループ・インジケータバー

フィーチャグループ・インジケータバーには、フィーチャグループごとに四角マークがあり、白、グレー、または赤で表示されます。

四角マークの順序は、エンコーダバーのフィーチャグループと同様で、左から右へ以下のように並んでいます。

ショーファイルに追加のフィーチャグループが含まれている場合、四角マークがバーに自動的に追加されます。

このバーは、ワールドとフィルタ にも表示されます。

埋め込み(Embedded)プリセット

プリセットには、別のプリセットへのリンクを含めることができます。これは、他のプリセットのように、プリセットへの参照を保存するキューと同様です。例えば、一般的な一連のプリセットでショーを作成し、それらを構成要素として他のプリセットを作成するような場合に役立ちます。

例:

この例では、Universal フィクスチャの値を持つ Universal Dimmer プリセットがあります。これは、フィクスチャタイプに対する新しい Global プリセットを作成するために用いられます。さらに、一部のフィクスチャだけに対する Selective プリセットを作成するためにも使用されています。フィクスチャタイプが変更された場合、Global プリセットを更新する必要があります。Selective プリセットは、Global プリセット値にリンクしているため、更新する必要はありません。Universal フィクスチャは、フィクスチャ変更による影響を受けません。


プリセット1は埋め込みプリセットで用いられています。プリセット2には埋め込みデータが含まれていて、別の埋め込みプリセットでも用いられています。プリセット3には埋め込みデータが含まれています。

「ソース」となるプリセットには、下線付き下矢印が表示されます。これは、このプリセットが他のプリセット(またはキュー)によって参照されていることを示しています。データが埋め込まれているプリセットには、上線付き下矢印が表示されます。これは、このプリセットが参照データを使用していることを示しています。参照されるデータが埋め込まれているプリセットには、上線と下線の付いた矢印が表示されます。

新しい名前が指定されていない場合、その名前も参照されます(角括弧で囲んで表示)。この場合、ソース・プリセットの名前を変更すると、新しいプリセットの名前も更新されます。詳しくは プリセットの新規作成 を参照してください。

レシピ・プリセット

プリセットは、レシピ情報を持つことができます。レシピは、グループ、プリセット、MAtricks、個別フェード、ディレイ、スピード、および位相に関する1行以上の情報行から構成されています。

この情報を用いて、値をプリセットまたはプログラマに「クック」(cook)できます。ソース情報が変更された場合、プリセットを再度クックして変更を反映できます。例えば、グループを用いたレシピで最初にクックして後、それを変更してプリセットを再度クックすると、グループへの変更が反映されます。詳しくは レシピ・プリセット を参照してください。

例:


レシピ情報を持つプリセット

小さなポット・アイコンは、レシピを持つプリセットを表しています。

MAgic プリセット

MAgic プリセットは、ポイントで値の範囲が定義されているプリセットです(例: 2つのフィクスチャを 0%と100%のディマー値で保存)。この範囲を、フィクスチャの動的セレクションに適用できます。MAgic プリセットは、常に Selective プリセットとして保存されますが、選択されたフィクスチャだけがそれを利用できるという意味ではなく、フィクスチャ・セレクションに対する値を含んでいるだけです。MAgic プリセットは、範囲内のポイントを定義するために値を用います。MAgic プリセットは、任意のフィクスチャ・セレクションに対して適用でき、プログラマに呼び出されると、ポイント間の値範囲が、それらのフィクスチャに割り当てられます。

Selection Grid の各軸上で、最大5個の定義ポイントを設定できます。

MAgic プリセットのプール・オブジェクトには、小さなウィザードハット・アイコンが表示されます。


MAgic 情報を持つ Position プリセット

例:

青から黄色への色範囲を制御するには、パスを定義する必要があります。その際 CIE Color Picker で、白ではなく赤領域を通るようにしたいとします。そのような範囲を定義するには、3つのフィクスチャが必要です。

最初のフィクスチャを青、2番目をマゼンタ、そして3番目を黄色とし、これを MAgic プリセットとして保存します。これで、3つのポイントを通る範囲を複数のフィクスチャに適用して、目的のパスを作成できます。


3ポイント MAgic Color プリセットを複数フィクスチャに適用した結果

この MAgic プリセットの作成方法については、プリセットの新規作成 を参照してください。

マルチステップ・プリセット

プリセットには、複数ステップの値(フェイザー)を含めることができます。ステップが1つしか無いプリセットでは、通常、ステップ1に値が保存されています。プリセットが複数のステップを持つ場合、マルチステップまたはフェイザー・プリセットと呼ばれます。

例:


マルチステップ・プリセット

マルチステップ値は、3個のドットが縦に並んだアイコンで示されます。

MAtricks プリセット

プリセットには、MAtricks 情報を保存できます。プログラマに MAtricks 情報がある状態でプリセットを保存すると、それがプリセットに追加されます(Store Settings で許可した場合)。

例:


MAtricks 情報を持つプリセット

MAtricks は、9個のドットが格子状に並んだ緑のアイコンで示されます。

フィルタを持つプリセット

プリセットプール全体には、デフォルトの入力フィルタがあります(All プリセットプールは除く)。デフォルトのフィルタはフィーチャグループ・プリセットプールにあり、そのフィーチャグループのアトリビュートを自動的にフィルタリングします。

All プリセットを含む任意のプリセットプールで、入力フィルタをカスタム・フィルタに変更できます。入力フィルタがデフォルトと異なる場合、プリセットプールのタイトル部分に入力フィルタ・アイコンが表示されます。

プリセットプール全体に対する入力フィルタに加え、個々のプリセットに入力フィルタを設定することもできます。入力フィルタについては、プリセットの編集 を参照してください。

例:


入力フィルタを持つプリセット

入力フィルタは、小さな右矢印が付いた灰色のフィルタ・アイコンで示されます。


プリセット・データの抽出

プリセットに保存されている値を抽出することができます。これによって、それらの値はプログラマに入ります。その際、プリセットへのリンクはありません。

これは、Extract キーワード によって行えます。

抽出では、さまざまなソースを指定できます。

プログラマにプリセットへの参照を含むフィクスチャ・セレクションがある場合、Extract Selection というコマンドでセレクション全体を抽出できます。

セレクション全体の代わりに、特定のフィクスチャを指定して抽出することもできます。
Extract Fixture [フィクスチャ番号 または "フィクスチャ名"] という構文によって、個々のフィクスチャまたは複数フィクスチャのセレクションを指定できます。

Extract Preset [フィクスチャ・グループ番号 または "フィクスチャ・グループ名"].[プリセット番号 または "プリセット名"] という構文で、特定のプリセットを現在のフィクスチャ・セレクションに抽出することも可能です。

Extract Cue [キュー番号 または "キュー名"] という構文で、キューからのすべてのプリセットを、フィクスチャ・セレクションに抽出することもできます。

ヒント:
フィクスチャ、セレクション、キュー、フィーチャグループ、またはアトリビュートを指定して抽出する場合、目的のフィクスチャに対してプリセットがプログラマでアクティブになっている必要があります。

埋め込みプリセット、あるいはステップに統合されたプリセットを持つフェイザー・プリセットを抽出する場合は、ソース・プリセットの値を直接呼び出します。

/Single オプションを付けて Extract を実行すると、プリセット階層の1レベル下の抽出を行えます。

2つの Color プリセット("red" と "blue")を作成し、それを別の Color プリセット("odd/even red/blue")に埋め込みます。2番目の Color プリセット("odd/even red/blue")は、All プリセット 21.1 ("cool look")に埋め込まれています。

いくつかのフィクスチャを選択し、それらに All プリセット("cool look")を適用します。

Extract Selection /Single を実行すると、2番目の Color プリセット("odd/even red/blue")がプログラマに呼び出されます。

Extract Selection /Single を再度実行すると、最初の Color プリセット("red" と "blue")がプログラマに呼び出されます。

Extract Selection /Single を3回目に実行すると、最初のステップで Extract Selection を用いた場合と同じ結果になります(プリセット・リンクの無いハード値)。