フェイザーは、grandMA3 におけるエフェクトやチェイサーです。単一のプリセットやキューから動的な出力を作成します。
フェイザーは、2ステップ以上の情報セットによって、アトリビュートの出力を変化させます。通常、静的キューやプリセットには、1ステップの情報しか含まれていません。ステップを追加することでフェイザーが作られます。
2ステップのフェイザーがあり、ステップ1で Dimmer が Absolute 値100%、ステップ2で Dimmer が Absolute 値0%だとします。他のすべての Phaser レイヤがデフォルト値の場合、ディマー出力は100%と0%の間でスムーズにフェードを繰り返します。
各フェイザー・ステップには、アトリビュート値情報を含めることができます。これらの値は、Absolute 値(例: 50%の Dimmer 値)または Relative 値(例: -20%の Dimmer 値)で指定できます。ステップには、Absolute 値と Relative 値の両方を同時に含めることができます。
各フェイザー・ステップには、ステップ全体の幅、新しい値への遷移に要するステップの割合、遷移時の加減速に関する追加のレイヤもあります。
Width レイヤは、ステップの開始から次ステップの開始までの合計タイムを指定します。Width は、Speed レイヤで指定された1ビートに対するパーセンテージとして表示されます。上の画面例では、最初のステップの Width が 100% なので、1ビート分のタイムにわたって値が変化します。2番目のステップは 0% なので、値が瞬時に変化し、次ステップがすぐに開始されます。3番目のステップは 200% なので、2ビート分のタイムにわたって値が変化します。
Transition レイヤは、値を新しいレベルに調整するために、ステップ幅のどの程度を使用するかを指定します。ステップの Transition は、そのステップの Width に対するパーセンテージで示されます。上の画面例では、最初のステップの Transition が 100% なので、ステップの全タイムで値が変化します。2番目のステップは 10% なので、ステップの Width の最初の 10% で値が変化し、その後ステップの終わりまで新しいレベルにとどまります。3番目のステップは 90% なので、ステップの Width の最初の 90% で値が変化し、その後ステップの終わりまで新しいレベルにとどまります。
Accel レイヤは、アトリビュートが現在のステップで指定された値から次ステップの値に向かってどの程度の緩急で変化し始めるか(加速)を指定します。上の画面例では、最初のステップの Accel が -100% なので、ステップの最後の値からの移行が滑らかに始まります。2番目のステップは 200% なので、ステップの最後の値から急激に変化し始めます。
Decel レイヤは、アトリビュートが現在のステップで指定された値にどの程度の緩急で到達するか(減速)を指定します。 上の画面例では、2番目のステップの Decel が -100% なので、ステップの値への移行が滑らかに終わります。3番目のステップは 200% なので、ステップの値への移行が急激に終わります。
さらに各フェイザーには、そのすべてのステップに影響するレイヤが含まれています。各フィクスチャの各アトリビュートは、フェイザーで独自の Speed、Speed Master、Phase、および Measure 値を持つことができますが、これらの値はフェイザーのすべてのステップで同じになります。
Speed は、フェイザーのステップを再生する全体的なレートを指定します。Speed は、BPM (1 分あたりの拍数)、Hz (1秒あたりのビート数)、または Seconds (1ビートあたりの秒数) のいずれかの単位で表示されます。
どのタイプの Speed マスターによってフェイザー・スピードを変化させるかをアトリビュートごとに指定します。フェイザー・スピードは、Speed マスターを用いてエクゼキュータに割り当てることができます。詳しくは SpeedMaster キーワード を参照してください。
Phase は、フェイザーにおける各フィクスチャのアトリビュートのタイミング・オフセットを指定します。Phase は度(°)で表示されます。上の画面例では、0〜90度の位相オフセットを持つサークル・フェイザーのフィクスチャ・セレクションを示しています。Phaser Editor では、このオフセットが2D/1Dレイアウトの両方に表示されます。
オプションの Measure レイヤは、繰り返されるフェイザー・ループのビート数を指定します。例えば、Measure が4ビートで Speed が120BPMのフェイザーは、2秒ごとに繰り返されます。
アトリビュートがエンコーダにマッピングされると、すべての Phaser レイヤとステップ選択ツールが エンコーダ・ツールバー に表示されます。Phaser レイヤは暗紫で示されます。Phaser レイヤは、アクティブ化、非アクティブ化、保存、クリアの際に、他のアトリビュート・レイヤと同様に動作します。アトリビュートのエンコーダやレイヤについては、プログラマとは を参照してください。Phaser Editor では、Phaser レイヤの情報がグラフィカルに表示され、効果的に操作できます。
grandMA3 では、フェイザー・ステップを作成、選択、および削除するために複数のツールや方法が用意されています。
プリセットに基づいてステップを素早く作成する直感的な方法として、Step があります。この方法でステップを作成するには、Step キーを押しながら、ステップごとにプリセットをタップします。
白から赤、青への3ステップ・カラー・フェイザーを作成するには、以下のようにします。
この方法では、現在のステップと同じアトリビュートを含む新しいプリセットをタップしたときにのみ、次のステップが作られます。これにより、各ステップは、異なるアトリビュートに適用されるプリセットであれば、複数のプリセットを参照することができます。
各ステップに Color と Position 両方のプリセットを含む2ステップのフェイザーを作成するには、以下のようにします。
Step キーで、ステップによって参照されるプリセットを素早く変更することもできます。
最初の例の3ステップ・カラー・フェイザーで、ステップ3の色を青から黄に変更します。
Delete キーワードを用いた標準構文によって、プログラマから特定のステップを削除できます。例えば、ステップ3を削除するには、以下のように入力します。
また、Step Bar で特定のステップを選択して プログラマ を削除することで、プログラマからそのステップを削除できます。
これを簡単に行うには(特に grandMA3 onPC で)、At オーバーレイ で Delete Steps をタップします。
Stomp 機能は、プログラマまたはプレイバックから実行されているフェイザーを停止し、それを単一の静的ステップに解決します。Stomp された各アトリビュートの最後の静的出力値が呼び出されてアクティブになり、プログラマのステップ1に入ります。Stomp されたフェイザーの他のステップはすべて破棄されます。
Sync オプションは、フェイザーが予測可能なタイミングと位相オフセットで呼び出されることを保証します。
フェイザーをプログラマに呼び出していると、エンコーダバー で Sync オプションを利用できます。
キューに保存されているフェイザーを呼び出す場合、Sequence Sheet で各キューパートの設定として Sync オプションを使用できます。キューとキューパートの設定については、Sequence Sheet を参照してください。
DelayToPhase 設定は、フェイザーの位相計算を、アトリビュートのアクティブな個別ディレイタイムにリンクさせます。
有効にすると、ディレイタイムの終わりに値が変化し始めると、各アトリビュートの位相計算が始まります。このディレイ・タイミングは、1つのキュー内のさまざまなアトリビュートやフィクスチャで異なる場合があるため、出力結果には、フェイザーに元々保存されたものとは異なる位相オフセットが含まれているように見える場合があります。
無効にすると、個々のディレイタイムに関係なく、同じキューでフェイザーを開始するすべてのアトリビュートの位相計算が、キューのトリガー時に始まります。これにより、個々の遅延時間が異なる場合でも、より予測可能で同期されたフェイザー再生が可能になります。
DelayToPhase 設定は、ショーのすべてのフェイザーに適用され、Preferences and Timing メニューの Timing タブに表示されます。